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こんにちは、大原です。
今回は、方剤の逍遙散しょうようさん加味逍遙散について調べてみました。
加味逍遙散といえば更年期における症状で、
いらいら、落ち込みやすい、口渇、のどの不快感が
現れているときに用いられることが多いようです。

加味逍遙散逍遙散がもとになっている方剤ですので、
両方ともみていきましょう。
まずは、どのような生薬で構成されているのか
という組成そせいについてからです。

組成:
逍遙散→柴胡・当帰・白芍びゃくしゃく・白朮・茯苓 各9g、炙甘草4.5g、煨姜わいきょう3g、薄荷1g
加味逍遙散→上の逍遙散+牡丹皮ぼたんぴ山梔子さんしし3g

逍遙散
効能:疏肝解鬱・健脾和営
主治:肝欝血虚・脾失健運
(ゆううつ感、いらいら、胸脇痛、寒くなったり暑くなったりする、頭痛、めまい、
口や喉の乾燥感、月経不順、経血量が少ない、乳房が張って痛む、食欲がない、
疲れやすい、脈が弦で無力など

病機:内傷七情により肝気が鬱結したり疏泄が失調すると、
陰血を暗耗(あんもう:気づかない内に消耗)したり、
脾の運化が不充分になって気血の生化が不足し、
肝の陰血が虚すために肝気が制約されなくなって
さらに疏泄が失調し、悪循環に陥る。
・肝欝で情志が鬱する→ゆううつ感、いらいら
・経気の滞り→胸脇部や乳房が張って痛む
・疏泄が失調して衛気がめぐらない→寒気
・同様に、陽気がめぐらず内欝する→熱感
・気血が上承しない→頭痛・めまい
・津液が布散できない→咽や口の乾燥感
・肝血不足と疏泄失調がある→衝任脈が失調し月経が不安定になり経血量も少ない。
・脾の運化が障害されている→食欲がなく疲れやすい
・肝欝→弦脈、かつ、血虚・脾運不足→脈は無力となる。

方意
本方は四逆散を加減した疏肝養血・理脾の代表的組成になっている。
疏肝解鬱柴胡が主薬で、鬱滞した肝気を疏通し条達させ、
少量の薄荷疏散条達の効能を強める。
養血活血当帰養血斂陰白芍肝の陰血を補充して柔肝し疏泄を調整する。
健脾白朮・茯苓・炙甘草脾の運化を高めて気血生化の源を益し
苦温の煨姜脾気を鼓舞する。
全体で肝の陰血を補い肝気を調節し、
気血を調整し肝脾を併治する
全面的な用薬になっている。

加味逍遙散
効能 疏肝健脾・和血調経・瀉火
主治 肝欝血虚・化火で、
いらいら、怒りっぽい、顔面紅潮、口渇・脈が弦数
などをともなうもの。
肝欝血虚で化火したために、
いらいら、怒りっぽい、口乾などの心肝火旺の症候をともなうので、
逍遙散に血熱を清し心肝の火を瀉す牡丹皮と、
三焦の火を瀉す山梔子を加えて、
導熱下行するとともに水道を通利する。
血虚有熱の月経不順にも適する。

ここで、方剤を構成する生薬の1つ煨姜わいきょうとは、
生姜を紙に包んで熱灰中で蒸し焼きにしたもので、
ふつうの生姜に比べて辛散の力は劣るが、
温中止嘔(おんちゅうしおう:中焦(脾胃)を温ためて嘔気を止める)の効能が強く、
そのため胃寒(胃の冷え)の嘔吐、腹痛、下痢に用いるそうです。

お洒落なコーヒーカップです。(英國屋にて)

参考文献
『中医臨床のための方剤学』
『中医臨床のための中薬学』 東洋学術出版社
『女性の漢方 すぐに使えるフローチャート』 中外医学社

興味がおありの方は、ぜひ参考文献もご一読ください。

2 コメント

  1. 経気の滞りとは体の中でどうなっている状態でしょうか。逍遙散のどの薬草が効果があるのでしょうか。

    • こんにちは、コメントありがとうございます。

      経気の滞りとは、
      一時的なもので例えますと、
      休みの日など朝起きずに昼過ぎまでずっと同じ姿勢で寝ていて、
      そろそろ起きようかと力を入れて起きようとすると、
      腰や背中が痛くなっているようなものだと思います。
      これは同じ姿勢が続いて、
      身体を循環するべき経気が巡っていないために起こるとされており、
      起きて軽く身体を動かすなどして気が巡ると
      痛みは治まってくることが多いです。

      逍遙散のどの生薬が効果があるのか、
      『中医臨床のための方剤学』によると、
      柴胡が主となって気を巡らし、
      さらに、当帰と白芍も、結果として気を巡らす働きになるようです。

      以下、専門的な内容になりますが、
      よろしければ参考にして頂ければと思います。

      人の身体には、経脈という気血のルートが張り巡らされており、
      気血は経脈を循環しているとされてます。
      経脈を循環している気を経気といいますが、
      五臓の一つである肝は、気血を巡らせる作用(疏泄作用といいます)があるとされてます。
      ストレスや緊張、イライラなどの状態が続くと、肝は働きにくくなり、気血が巡りにくくなります。
      これを肝鬱(かんうつ)または肝気鬱結(かんきうっけつ)といいます。

      この肝鬱の状態では、経脈を流れる気が循環されにくく、
      気が循環されないと、痛みや張りなど様々な不調がおこるとされてます。
      (これを不通則痛といいます。)
      特に、肝と関係の深い経脈は、脇や胸、また目や頭などを通るとされており、
      肝気が鬱するとその経脈の循環がうまくいかず、気が滞り、痛み・張りなどが現れることになります。

      肝鬱を改善することを疏肝(そかん)といい、
      記事中の「方意」の内容になりますが
      逍遥散の中の柴胡が主薬として疏肝に働いて、さらに、当帰と白芍も、結果として疏肝に働くようです。

      気血の循環を良くすることが主となりますので、
      意識して身体を動かすことで症状は改善しやすくなると思います。

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