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下野です。
またまた淳于意の診籍からのお話。
診籍の16例目に
菑川王の「蹶証」の話が出てきます。
内容は、
「菑川王病.召臣意診脉.
曰.蹶上.爲重頭痛.身熱.使人煩懣.
臣意即以寒水拊其頭.刺足陽明脉.
左右各三所.病旋已.」
(菑川王が病を患った為、脈を診たところ
蹶証であった。頭痛と身熱、煩悶を引き起こすため、
施療の際に冷水を王の頭に当て、
足の陽明脈の左右三穴ずつに鍼を施した。
すると病はすぐに改善が観られた。)
といったものになります。
ここで重要なのは、
足の陽明経に鍼を施すという点と、
冷水を用いて、
冷却を同時に行っているというところであります。
現代であれば、
熱があれば冷やす
というのは当たり前の認識であり、
これはヒポクラテスの時代から
行われていた解熱法だとされています。
そこに鍼を用いて同時に解熱させる方法というのは
画期的なものであったようで、
『中国医学の歴史』(東洋学術出版社)によると
※¹「中国医学には二千年前からすでに
物理的解熱方法が存在していたことを実証している」
と書かれており、
淳于意が非常に見識の高い診断と
その施療を行っていたということを
裏付けるものであると考えられています。
勿論、現代の臨床現場でも
十分に使える施療方法であり、
不覚にも今年熱中症になりまして、
その際に緊急処置として
鍼と冷却シートを貼って自身を施療したのを
思い出しました。。。
<引用文献>
※1『中国医学の歴史』傅 維康 著・川井 正久 編訳 東洋学術出版社
P.144 11行目〜12行目
<アイキャッチ画像>
『扁鵲倉公伝』京都大学附属図書館所蔵























