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下野です。
世界最古の診籍を残こした
時の名医 淳于意ですが、
同じ『史記』「扁鵲倉公列傳」に収められ
伝説となっている扁鵲とは
どうも立場が異なると言いますか、
こういう医者がいたよといった感じの立場に感じます。
あくまで個人的な意見ですが。

淳于意が伝説とならない理由には、
現実的な施療とその記録がしっかりと残っている、
つまり歴史が証明しているということ。
あと施療自体が、
扁鵲の『脈書』を基にした、
つまり言い方は悪いですが”秘技”というものが存在しない、
先に書いたように、現実的な施療方法というものがあるのでしょう。
何れにせよ、これは凄いことでしょ!
と普通は思うのですが、
やはり「壁の向こうが透けて見えた」とされる
扁鵲に比べるとインパクトに欠けるのでしょうか。

また中国の文化から考えると、
伝説化する、幻想を抱かせることで、
自国の哲学や医学の威厳性を持たせようと
したのだろうなとも想像ができます。
そうなると中国医学で重要な「脈による診断」の書物を遺し、
治療システムを構築したとされる
扁鵲はやはり中国医学の祖として
伝説化すべきだったのかと思います。

これから時代が進むに連れ
また新たな発見が出てくるでしょうが、
そうなった時には、この伝説はどうなるのでしょうか。

最後に、淳于意の話に戻りますが、
淳于意の施療では
「救えなかった」のようなニュアンスで書かれている
ものもありますが、
僕個人としては、
患者の予後をしっかりと判断し、
現実を受け止めているが故の事なのになぁ。と感じますし、
無茶な施療、患者の為にならない施療は行わないという
施療者として必要な面を示していると思いますし、
個人的には人間味があって、良いなと思います。


アイキャッチ画像は
『扁鵲倉公伝』京都大学附属図書館所蔵
です。

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