疾患別解説
「灼熱脚(バーニングフィート)症候群」の東洋医学解説
異常な熱を足(特に足裏)に感じ、
時にしびれや痛みを伴う症状を
「灼熱脚(バーニングフィート)症候群」と呼びます。
夏場、特に「夜、寝ようとするときに足が熱くて眠れない」と訴える方が多く、
時には我慢できないほどの不快感やイライラにつながることもあります。
◎東洋医学的な見解と施療方法
東洋医学でいうところの「内熱」という
体内に熱がこもることに起因した症状であり、
「五心煩熱」といいます。
主な症状としては、
夕方から夜間にかけての手のひらや足裏、胸の熱感、ほてりであり、
全てに感じる場合と、一部だけに感じる場合とがあります。
原因としては
体内の陰分(潤い)が不足し、相対的に熱が旺盛になるものであり、
東洋医学の言葉で「陰虚内熱」と言います。
①学術面からみた陰不足の原因とその施療
五臓六腑の中でも、
腎が日常からの負担を受けたり、先天的に弱いことにより
健全である陰陽の平衡が失調して起こるものです。
鍼灸での処置:補腎(陰)を行うことで功を奏します。
日々注意すべきこと:腎の陰分が消耗しないよう心掛ける。
・夜更かしをしない
・長風呂やサウナ、岩盤浴は控える
・発汗、体を温める目的とした食生活は控える
②臨床面からみた陰不足の原因と施療
飲食の不摂生により邪(体内に貯留した病理産物)が生まれ発病したものや、
過度のストレスによって起こるもの、
そのすべてを合わせたものである虚実が夾雑(混在)したものが多く、
症状も五心煩熱(手足の熱感)だけでなく、
動悸があったり、めまいがあったり、
イライラ、耳鳴り、口が乾く等多岐にわたります。
鍼灸での処置:
五心煩熱だから“これ“というものではなく、
臓腑と邪の関係性をしっかりと見極め、施療します。
日々注意すべきこと:
・ストレスタイプ:適度な運動や趣味に時間を使ってもらう
・飲食不摂生タイプ:過食や飲酒、脂物の食べ過ぎは禁物。
・生活リズムの不摂生タイプ:規則正しい生活リズムに戻す、夜更かしは禁物。
③方剤学(漢方)での施療
原因の見方は、②と同じであり、
代表的な方剤(漢方)は知母地黄丸や三物黄芩湯が挙げられますが、
実際には身体の状態によって加減が行われます。
比較的軽度の場合は、
知母地黄丸まで使わなくても、滋陰が主体の薬である六味丸があります。
◎西洋医学的な見解
西洋医学では、主に以下のような原因が考えられています。
① 体温調節によるもの
夏場などの暑い環境では、体に熱がこもりがちになります。
体は体温を下げようとして手足の毛細血管を広げ、熱を外に逃がそうとします。
この「熱を放出している瞬間」に、手足が異常に熱く感じられます。
② 人間の生理機能によるもの
人間は、日中に体温を上げ、夜の就寝時に体温を下げる
バイオリズムを持っています。
就寝時に急激に体温を下げるため、
手足の末梢から一気に熱を放出しようとします。
その際、手足に熱が集中することで症状が現れます。
③ 血行不良やむくみによるもの
日中の立ち仕事や激しい運動によって、
夕方以降に足の静脈に血液がたまったり(うっ滞)、むくみが起こったりします。
このむくみが血行不良を引き起こし、
結果として足の熱感につながることがあります。
④ 代謝疾患などの影響
糖尿病や甲状腺機能低下症などの持病がある方は、末梢神経の障害などにより、
この灼熱脚症候群を発症しやすいとされています。
【西洋医学的な治療方法】
症状の度合いに合わせ、お薬による治療(服薬)が基本となります。
薬が必要ない軽度な場合は、
マッサージや食生活の見直し・改善などが行われます。
当院には、手足の熱感の症例が多くございます。
お悩みの方はご検討頂き、ご来院頂ければ幸いです。
作成:下野



