マンスリーアーカイブ 9月 2009

経穴解説No.14(足陽明胃経 大迎~頭維)

こんにちは、為沢です。 シルバーウィークはどのように過ごされましたか? 僕は最近、一人暮らしを始めたんですが、 以前に購入したソファが届き、快適に過ごしております♪ 休みの日は次何を買おうかと作戦を練り、 いろいろ家具を見て周って楽しんでおります。 では経穴紹介に入ります。 本日は足陽明胃経の 大迎(だいげい) 頬車(きょうしゃ) 下関(げかん) 頭維(ずい) を御紹介致します。 足陽明胃経 大迎(だいげい) 下顎角の前方1寸3分の陥凹部、動脈拍動部にとる。 「迎」には血気旺盛という意味があるため 大迎と名付けられました。 胃経の正経はここで流れが分岐し、 上は頬車へ、下は人迎へ向かいます。 治療穴としてはあまり用いませんが、 望診で診る経穴で、 この辺りはよく肌荒れやニキビ(吹き出物)が出る所です。 下焦が弱っている方によく見受けられます。 頬車(きょうしゃ) 別名を鬼床、機関、曲牙といい この辺りは、顎関節症などでよく痛める部位です。 個人的に顎関節症は 肝鬱気滞でなる方が多く感じられます。 (もちろん他の原因による場合もあります) 肝鬱による肩こりが主訴の方で 顎関節症もある患者さまを施術した際、 肩こりと顎関節症、どちらも同時に治られました。 鍼の後に歯医者さんに行く予定だったみたいですが 行かなくて済んだと喜んでおられました(笑) その施術の際は、頬車は使用しておりません。 診断点として主に診ております。 下関(げかん) 「しものせき」ではございませんよ(笑) 「げかん」といいます。 この辺りも治療穴より診断点として診ております。 三叉神経痛や痙攣が症状としてよく見受けられます。 肝鬱化火や陰虚による内風症状として 痛みや痙攣がよく見受けられますが、 湿痰により痛みが出ていた患者さまもおられました。 どのような症状にも 頭から証を決めつけず、弁証論治を怠らないで下さい。 頭維(ずい) 額角髪際(生え際の角)にあり、 前額面は陽明経の流れが深く関わっております。 他、側頭部は少陽経、頭頂部は厥陰経、後頭部は太陽経 というように頭部の位置により、関わる経絡が違ってきます。 前額面の異常は陽明経の異常であることが多く、 また、陽明経は陽気の最も強い経絡なので 熱が籠ることが多く見受けられます。 頭維に熱が籠ることで頭皮が乾燥し 抜け毛の原因となることがあります。 頭部の位置により、関わってくる経絡が変わるので 注意して下さい。 参考文献: 『針灸学』  『東洋医学講座 第六巻 取穴篇』自然社        『兪穴学』 たにぐち書店 『経絡経穴概論』 医道の日本社  為沢

適した室内環境で。

どうも下野です。 友人が椎間板ヘルニアで急遽入院する事になり、 お見舞いで病院に行く回数が非常に増えました。 今回は、そこで感じた事を記事にしようと思います。 友人を含め、入院されていた患者さんの多くは ヘルニアでした。 みなさんリハビリを兼ね、廊下を歩いたり、 いろいろ動きまわっておられるのを 何気なく見ておりますと、(東洋医学の望診ですね。) 6~7割位の人が同じ様な歩き方をしていました。 職業柄、原因を探るべく歩き方を真似ていると とある経絡が思うように動かない事に気付きました。 その経絡は、 陽明胃経と太陰脾経でした。 患者さんのヘルニアの原因が上記の二経絡による ものかは定かではありませんが、 それにしても数が多いなと思いました。 ただ友人が 「入院してからダルい。あと痰が多く、食欲があまりない」 と言っており、なんでだろうかと思い入院部屋に入ってみると、 僕も数分いるだけで体がダルくなり、 痰が絡むようになるくらいの湿気のきつさでした。 この湿気(湿邪)が脾胃の経絡を犯し、 あの様な歩き方、症状の出かた、症状を長引かせる原因になったと 考えられました。 東洋医学で病を治す場合、弁証は勿論ですが、 施術所の環境も非常に重要となって参ります。 (このことは中医学の書籍にも書かれております。) 今回のように、湿気がきついや冷房がきついとなると、 せっかくの施術も無駄になってしまい、 また逆に症状を悪化させてしまうこともあります。 施術に当たる場合、それもしっかり考えないといけませんね。 では。 下野

お詫び

本日はシルバーウィークの最終日でしたが、 通常通りやっていますとの案内を出していました。 にも関わらず、 予約状況の都合上、 数名お断りさせて頂きました。 一人一人、治療家が施術にあたっていますので、 どうしても 診させて頂ける人数に限りがございます。 しっかりと予約して頂き、施術にあたらせていただく現場においては その患者さまの為に鍼を持ち最大限の努力させて頂きます。 私自身、 休みの日に目当ての物を食べに行った時に 本日はいっぱいです。 と断られると 「表に書いとけや!」 と思うことがあるので 御断りさせて頂いた 患者の怒りはわかります。 食事ではなく体の嘆きなのなおさらでしょう。 しかし、 適当な治療内容になってはいけないので 予約制限をいたしました。 御理解頂ければと思います。     林

シルバーウィークと一鍼堂からのお願い。

世間ではシルバーウィークだということで 連休に入るようですが、 一鍼堂は基本的に休まずやっております。 ただ、曜日によっては半日のみなど 時間を制限している場合がございますので ご注意下さいませ。 そうそう、 一鍼堂の待合室などで蚊など、小さな虫が 出て来て患者様が パンと手で叩いて殺してしまう場面をまれに拝見いたします。 一鍼堂は、病治しの場で、 治療家の立場としては実に神聖な場所で 絶対に殺生はせぬこととしています。 人を治して虫を殺す場であっては 何をしたいのかよくわかりません。 もし、虫などがいた場合は スタッフにご用命いただければ 捕まえて外にはなして参ります。 また、同時に診察室など治療に関わることについては徹底的して 衛生的に管理しておりますので御安心下さいませ。 何卒宜しくお願いします。 場所にはその場所のルールというものがあります。 飛行機では携帯を切る。 一鍼堂では殺生はしない。 お願い致します。   林玄一

『五行』解説 肝ー筋

どうも、新川です。 先日、久しぶりに フットサル(小さいコートで行うサッカーのようなスポーツです) をして参りました。 日頃からトレーニングを怠ったツケが いっきに回ってきた という感じでしょうか。 案の定、全身筋肉痛です(涙) 今回は 五行の分類表における 肝ー筋の関係についてです。 肝は筋を主(つかさど)る 筋とは骨に付着し関節に集まっている 筋膜を表します。 この筋膜は、肝の陰血により 滋養されており、 筋の疾患に対して 肝経をつかって治療することが 臨床上よくございます。 このとき、 筋=肝だ!  と決めつけてしまうと 治療の見方としては 宜しくありません。 例を挙げれば、 全身の経絡には、 経筋といって 経絡が支配している 筋の部分がございますので、 どの部分に痛みがあるのか が非常に重要になって参ります。 また慢性の筋の疾患で あれば陰血の不足(虚証)を 疑いますが、 急性、突発性のものであれば 気の滞りなどの 実証と考えられるため 虚実の判断 も重要になってまいります。 もちろん他にも様々な要因が考えられますが これらのことだけでも 読み取らなければならない情報は多くありますね。 治療に関しては、 日々葛藤です。 参考文献:『鍼灸学[基礎編]』  東洋学術出版社      『臓腑経絡学』     アルテミシア

養生指導【生姜】

どうも下野です。 朝晩が随分と涼しく、昼間との気温差が出てきました。 体調を崩しやすい時期ですのでご注意下さい。 では今回も、 前回に引き続き養生指導についてお話致します。 今回は「生姜」についてです。 世間では「生姜」は体を温めることで新陳代謝を良くし、 健康・美容に良いと聞きます。 手頃な物として「生姜湯」が商品化されており、 多くの方が飲まれているようです。 (一鍼堂の患者さまの中にも多くおられました。) しかし「生姜」ですが、 全ての人に良いというものではありません。 確かに「生姜」を摂取することで健康になる方はおりますが、 一方で悪い方向にお体を持っていってしまう人もおられ、 その様な方には「生姜」は禁止です。 ではどの様な人がだめなのか?というと 「生姜」は体を温める作用を持った物なので、 体が熱傾向の人は禁止です。 体が熱傾向?と言われても分からないと思いますが、 臨床上よく診られるのが、 暑がり、口や咽が乾き易い、お風呂でのぼせる、 夜間に手足が熱いetcがあります。 例えば冷えがあっても、温めることで体がしんどいというのも 熱がある時にみられます。 何か思い当たる事がある方は、一度「生姜」控えて下さい。 それだけで体が大きく変わる事もありますよ。 また鍼灸師の方で、熱を捌く治療をしても良くならない という方は、患者さまの生活を聞いてみて下さい。 世間的に良いと言われている物を摂取されていると、 悪い事だと思わず仰らない方がおられます。 そこは鍼灸師としての腕の見せ所?にもなります。 是非、聞いてみて下さい。 下野

経穴解説No.13(足陽明胃経 承泣~地倉)

こんにちは、為沢です。 最近随分涼しくなってきましたね。 体調を崩し易い時期ですので、 体調管理には気を付けて下さいね。 今回は足陽明胃経の 承泣(しょうきゅう) 四白(しはく) 巨髎(こりょう) 地倉(ちそう) を御紹介致します。 足陽明胃経 承泣(しょうきゅう) 真っ直ぐに座り、両目を直視し、瞳孔の下7分 眼球と眼窩下縁の間に取ります。 臨床的にはあまり使用はしませんが 眼の下のクマとして出て来る場所なので 望診で注意して診る経穴です。 クマの原因として 胃経の発端となる経穴ですので 直接胃と関係ある場合や、 他の五臓六腑による原因で 結果として眼窩に出ている可能性も考えられます。 なので、 「胃経にある症状=胃の症状」 と考えるのは安易ですので御注意を。 四白(しはく) 承泣の下3分、瞳孔の下1寸に取ります。 望診としては、ここも承泣と同様の診方をします。 この辺りの症状では、痙攣もよく見受けられ、 痙攣は内風によるものと東洋医学では診立てます。 震えは風が吹き付けて起こるものと考えますので どこからくる風かが重要になって参ります。 巨髎(こりょう) 鼻孔の外8分、瞳孔線上に取ります。 脾胃の湿痰邪による耳の閉塞感が出ている患者さまで 巨髎の奥あたりから、ネバネバした粘液性の水が 流れる得気を感じる方がおり、 水が抜けると耳の閉塞感も抜けていらっしゃいました。 よく脾胃が動き、 巨髎付近の湿痰が流れたのでしょう。 大変参考になりました。 この症例の他にも、巨髎付近は湿痰が絡むことがよく見受けられ、 個人的には、湿痰が停滞し易い箇所かと思います。 地倉(ちそう) 口角の外4分に取ります。 口角の枯れや、腫れの症状は 比較的、脾胃からきていることが多いです。 巨髎や地倉は顔面痙攣などの症状がよく見受けられ、 引きつりなどがある場合は、 どこに引っ張るかなども重要になって参ります。 学生さんのために 本日、紹介した経穴は 使用機会は少ないですが 望診や症状などでよく注意して診る箇所です。 とくに顔の望診は 気色を診るので 経絡経穴として診ることも大事ですが 気色診もできるように勉強して下さい。 参考文献: 『針灸学』  『臨床経穴学』 東洋学術出版社 『東洋医学講座 第六巻 取穴篇』自然社 『藤本蓮風 経穴解説』メディカルユーコン        『兪穴学』 たにぐち書店 『経絡経穴概論』 医道の日本社  為沢

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