マンスリーアーカイブ 7月 2007
腹證奇覧にみる大建中湯の證Ⅲ
大建中湯の證Ⅲ
図の如く、腹常には平隠にして、発する時は腹皮動いて波の打来るが如き者。
或は腹常には之を按すも状なく、発する時は忽塊物遊走し、上下往来して疼み、
事にふれて近づくべからず。
又、云う。時として小さき嚢の如きもの忽ち去りて無きが如く、
又た来る時は痛み忍び難し。腹中に在るかと思えば、忽ち背に廻り、
背に在るかと思えば、また腹中に来る。
此の三図の腹診を詳らかにして、其々の病名に拘らず、此の方を用いて治せざることなし。
腹證奇覧にみる大建中湯の證Ⅱ
大建中湯の證Ⅱ
図の如く、時々蛇の如く、又鰻の如きもの腹中を遊走して、
頭かと思う処にて痛み、尾かと覚う処にて痛み、其の患(うれい)忍ぶべからず。
諸薬も効なく、その余の患う所、人々にして異なるは、都(すべ)て此の方に非れば治せず。
図するが如く、其の腹三状(三通り)あり。腹診を詳らかにして治療の効を奏すべし。
又、云う。此の證、間々旁らに下瘀血湯の證を現すことあり、考うべし。
図、方ともに下に出す。
{Q&A}鍼治療後、体がだるくなることはあるのでしょうか?
鍼灸治療と施術後の身体のだるさについて解説します。
腹證奇覧にみる大建中湯の證Ⅰ
大建中湯の證Ⅰ
図の如く、腹の皮尨々(むくむく) と起こりて頭足あるが如く、譬(たと)えば樹の枝を袋に包みて
推してみるが如し。其の人時として大いに寒痛し、嘔して食することを能わず。
発する時は事にふれて近づくべからず。或は大便閉し、或は心胸、
大寒上衝の者。
大建中湯の方。
蜀椒(六分) 乾姜(一戔二分) 人参(竹節。八分) 飴(四戔六分)
右四味、水一盞六分を似って三味を煮て八部に取り、滓を去りて
飴を六分にとりて、一度に服す。
~ 大阪から真の鍼灸を 一鍼堂 ~
{Q&A}鍼は神経や筋肉をねらって刺しているのですか?
Q 鍼は神経や筋肉をねらって刺しているのですか?
A いいえ、神経や筋肉にアプローチすることはまずありません。
鍼灸は、体の気を動かして施術するものなのです。
(血も気が動けば、動いてきます。つまり気血同源です。)
体の気血は鍼を皮膚表面に当てるだけでも大きく動きますので、
巷で行われているような、神経や筋肉に対してアプローチするよう
な深い鍼(針)は必要なく、本来は浅い皮膚表面に刺激するだけで
十分に効果が現れるものです。
また神経や筋肉などは、気を動かすことにより、それに伴って
いくらでも動いてくれるものです。
ましてや、中国やその他の海外の方と比べても、日本人の気の
流れは特に繊細であり、デリケートな施術が必要となります。
~ 大阪から真の鍼灸を 一鍼堂 ~
大建中湯
大建中湯
蜀椒・乾姜・人参・膠胎
温中補虚・降逆止痛
中焦陽虚・陰寒上逆
『中医臨床のための方剤学』では次のように紹介している。
①腹痛がはげしく触れさせない・腹満・嘔吐・食べられない・
腹鳴・②腹壁上に腸蠕動が望見できる・舌苔は白滑・
脈は細緊・甚しければ四肢が冷えて脈が伏する
といった代表症状を挙げている。
興味深いのが①②の症状。
一見すると邪実を表すかのようであるが、虚が強いと
その分邪が停滞し、去り難くなる。
それが頑として体内に存在すると、このような症状が出るのであろう。
ということは①②のような症状を診て、邪実と誤り攻下してしまうと
弱い生気をますます弱らせてしまうので、よっぽど気を付けねばならない。
これを虚虚という。
「神の手」を切る!
戦争も医学も華やかなものが好まれるようだ。
戦争で言えば破壊力の高い兵器類
医学で言えば手術
しかし、最も尊いことは、
事前にその芽をつむぐことであることを決して忘れてはならない。
戦争で言えば話し合いでの和平
医学で言えば病気になる前の痛みや、痺れなどの体からの訴えを聞いて改善してやること。
神の手を持つ医者などとテレビでもてはやされているのを見たが、
鍼灸なら切らずにいけるのにともどかしく思う。
くやしさ 苛立ち?
自分でもよく表現できない感情が込み上げる。
あんなもの最終手段であって、
なにも褒められるような手法ではない。
私なら、切るところまで悪化させた自分を恨むが。
あのような番組が流行っていることが悲しく思う。
編集もうまいこと出来ているし、
あれを見て、
安易に手術をする人が少なくないであろうから。
メスを入れる前に体の声を聞いてあげましょう。