こんにちは、本多です。

先日、
数日間お休みを頂き、
タイへ行ってきました。

仔象
仔象

上の写真は、
小屋から抜け出した仔象を撮影したときのものです。
人の子と遊びたかったんでしょうね。
しかしこの後この仔象、
象使いから叱責をうけてました(^_^;)

捕まって罰をうけないように、
子屋へと早足で戻る仔象の後ろ姿が
何とも愛くるしいものでした。


さて、今回の腹證奇覧の記事は、
八味丸の證についてです。

八味丸

八味丸
八味丸


図の如く臍下不仁、或は小腹不仁にして、小便不利の者。
又、一證。
手足煩熱し、腰痛、小腹拘急し、小便不利の者。
又、一證。
不仁するに非ずして、小腹拘急の者。
又、臍の四辺堅大にして盤の如く、
之を按せば陰茎・陰門に徹し痛む者。
淋病・血症の者にこの證多し。

八味丸
地黄(八戔)
山茱萸・薯蕷(各四戔)
茯苓・牡丹皮・沢瀉(各三戔)
桂枝・附子(各二戔)

右八味、末となし、蜜を以って丸ず。
余、此の方を用い知りて云う。
臍下及び小腹不仁と云う者、指頭にて按ずるに、
ズブリと凹み力なく、其の人心細く便なく覚ゆ。
不仁となること知るべし。
且つ、小便不利或は腹底に暗然として少しく冷気を覚う。
心を鎮めてこれを察すべし。
若し、其の冷気なくして、附子の證あらんと疑う時は、
背を見るべし。
必ず、手の裏ほどの冷気あらば、附子の證と知るべし。
又、この證にして、
或は悸し、
或は手足冷ゆるもの、皆是れ八味丸の正證なり。


【八味丸:組成】

地黄(じおう)

地黄
地黄

ゴマノハグサ科の、またはその変種のカイケイジオウ、
あるいはアカヤジオウの肥大根。
性味:甘・苦・寒
帰経:心・肝・腎
主な薬効と応用:
①清熱滋陰:温熱病の熱入営血による
夜間の
発熱・熱感・口乾・舌質が紅絳などの症候時に用いる。
方剤例⇒清営湯
②涼血止血:血熱妄行による
吐血・鼻出血・血尿・血便、
性器出血などの症候時に用いる。
方剤例⇒四生丸
③生津止渇:熱盛傷津による
口乾・口唇の乾燥・舌質が紅などの症候時に用いる。
方剤例⇒益胃湯
備考:脾虚有湿で腹満・泥状便を呈する時に用いる。



山茱萸(さんしゅゆ)

ミズキ科のサンシュユの成熟した果肉
性味:酸・渋・微温
帰経:肝・腎
主な効能と応用:
①補益肝腎:肝腎不足の腰や膝がだるく無力・眩暈・頭のふらつきなどの症状時に用いる。
方剤例⇒左帰飲
②渋精縮飲:腎虚による遺精・頻尿・尿失禁などの症候時に用いる。
方剤例⇒草還丹
③固経止血:衝任虚損の不正性器出血・月経過多などに用いる。
方剤例⇒固衝湯
④斂汗固脱:虚脱や久病で汗が止まらないときなどに用いる。
方剤例⇒来る復湯
備考:微温収渋のため、陰虚陽亢・湿熱内蘊・小便不利には用いてはならない。



薯蕷(しょよ)

ヤマノイモ科のナガイモの外皮を除いた根茎。
性味:甘・平
帰経:脾・肺・腎
主な薬効と応用:
①補脾止瀉:脾虚による食欲不振・元気がない・
泥状~水様便・食べると排便するなどの症候に用いる。
方剤例⇒参苓白朮散
②養陰扶脾:脾陰虚による食欲不振・食べると腹が張る、
口乾・舌質が紅・少苔などの症候時に用いる
方剤例⇒一味薯蕷
③養肺益陰:肺虚(気陰不足)の慢性咳嗽・呼吸困難に用いる。
方剤例⇒八味地黄丸
備考:養陰助湿するので、湿盛や中満・積滞には用いない。



茯苓(ぶくりょう)

茯苓
茯苓

サルノコシカケ科のマツホドの外層を除いた菌核。
性味:甘・淡・平
帰経:心・脾・肺・腎・胃
主な薬効と応用
①利水滲湿:水湿停滞による尿量減少・浮腫などに用いる。
方剤例⇒四苓散
②健脾補中:脾虚の食欲不振・元気がない・腹鳴・腹満、
泥状便や水様便などの症候に用いる。
方剤例⇒四君子湯
③寧心安神:心神不寧の不眠・不安感・驚きやすい・心悸などの症候に用いる。
方剤例⇒帰脾湯
備考:性質が緩やかであるところから補助薬として用いることが多い。



牡丹皮(ぼたんぴ)

ボタン科の根皮
性味:苦・辛・微寒
帰経:心・肝・腎
主な薬効と応用:
①清熱凉血:熱入営血の夜間発熱・皮下出血・吐血・鼻出血などの症候時に用いる。
方剤例⇒犀角地黄湯
②活血散瘀:瘀血による無月経・月経痛・腹腔内腫瘤などに用いる。
方剤例⇒桂枝茯苓丸
③清肝火:肝鬱化火による熱感・頭痛・目の充血、
頬部の紅潮・口が乾く・月経不順などの症候時に用いる。
方剤例⇒加味逍遙散
備考:通路活血に働くので、妊婦や月経過多には用い内。



沢瀉(たくしゃ)

沢瀉
沢瀉

オモダカ科のサジオモダカの周皮を除いた塊茎。
性味:甘・淡・寒
帰経:腎・膀胱
主な薬効と応用
①利水滲湿:水湿停滞による尿量減少・水腫・泥状便・水様便などに用いる。
方剤例⇒四苓散
②除痰飲:痰飲停留による眩暈に用いる。
備考:利水滲湿の効力は茯苓とほぼ同じであるが、泄熱の働きがある。



桂枝(けいし)

桂枝
桂枝

クスノキ科のケイの若枝またはその樹皮。
性味:辛・温・甘
帰経:肝・心・脾・肺・腎・膀胱
主な薬効と応用
①発汗解肌:風寒表証の頭痛・発熱・悪寒・悪風などの症候時に用いる。
方剤例⇒桂枝湯
②温通経脈:風寒湿痺の関節痛時に用いる。
方剤例⇒桂枝附子湯
③通陽化気:脾胃虚寒の腹痛時などに用いる。
方剤例⇒小建中湯
④平衡降逆:心気陰両虚で脈の結代・動悸がみられるときなどに用いる。
方剤例⇒炙甘草湯
備考:麻黄の発汗作用には劣るものの温経散寒の作用の効力は強く、
解肌発汗して寒邪を散じることができる。



附子(ぶし)

附子
附子

キンポウゲ科のハナトリカブトの塊根。
性味:大熱・辛
帰経:肺・心・脾・腎
主な薬効と応用:鎮痛・強心作用・利用
①回陽救逆:大量の発汗や激しい下痢・激しい嘔吐などによる
亡陽虚脱の時に用いる。
方剤例⇒四逆湯
②補陽益火:
腎陽虚による腰・膝のだるさ・頻尿などの症候が現れた時に用いる。
方剤例⇒八味地黄丸
③温陽利水:腎陽虚による肢体の浮腫・腰痛や膝痛の時などに用いる。
方剤例⇒真武湯
④散寒止痛:痺証による関節の痛みや痺れ・冷えなどに用いる。
方剤例⇒甘草附子湯
備考:辛熱燥烈なので、陰盛陽衰で服用する。
陰虚内熱時には使用してはならない。


八味丸:主治】

腰や膝がだるく無力・腰痛・下腹部のひきつり・下半身の冷えや浮腫などの症状が発症する、
腎陽虚に対して、温補腎陽の効果がある。


参考文献:
『生薬単』 NTS
『漢方概論』 創元社
『腹證奇覧 全』 医道の日本社
『中医臨床のための方剤学』
『中医臨床のための中薬学』 神戸中医学研究会

画像:
『腹証奇覧 後編2巻』
京都大学貴重資料デジタルアーカイブより
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00004918

画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。


本多

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